TIS株式会社

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SAP2027年問題を見据えたPoC

TIS株式会社 齊藤 頼芸 氏

SAPユーザーが抱える「2027年問題」とは

3,000社以上の多岐にわたる企業のビジネスパートナーとして、製造業からサービス業まで多様な業種にITソリューションを提供するTIS株式会社。50年以上の実績をもつ同社は、クレジットカードの基幹システム開発では国内市場の過半数のシェアを占めるなど、金融分野にも強みをもって事業を展開している。

そんなTISが現在抱えているお客様に対しての解決すべき課題の一つに「SAP ERP 2027年(2025年)問題」がある。これは、SAP社のERPシステム(基幹系情報システム)の標準サポートが2027年に終了することに伴って生じる、システム移行に関する課題だ。

ERPとは受注や会計、販売や生産など各種管理を含めた基幹業務を一括してサポートできるシステムだ。国内外を問わず多くの企業が導入しているが、さまざまなERP製品のなかでもSAP社は世界的なシェアを誇り、日本国内だけで約2,000社が導入している。

しかしSAP社のERPの標準サポートが終了する2027年以降には、企業は現在のシステムをサポートなしで継続的に利用するか、他社のERP製品に切り替えるか、もしくはSAP社の別システム「SAP S/4HANA🄬」に移行するかのいずれかを選択せざるを得ない。

TISのERPコンサルティングユニット、ERPコンサルティング第4部で部長を務める齊藤頼芸氏は「SAP製品の一ユーザーとして、数年前から社内でも2027年問題には関心を寄せていました。エンジニア不足が業界全体の課題となっているなか、多くの企業が今後数年にわたってERPの移行に向き合わなくてはいけません。もちろん弊社の場合も既存のシステム移行を進め、技術者を確保する必要性を感じていました」と語る。

 

SAP S/4HANABTPの連携を見込んだ、パソナテックとのPoC(概念実証)

エンジニア不足や新しい製品への移行といった課題の解決に向けて、パソナテックはIT・エンジニアリング領域に特化したプロフェッショナルな人材とともに「SAP S/4HANA🄬」の導入サポートをはじめ、企業や組織のDX(デジタルトランスフォーメーション)を多方面から推進している。

ERPシステムは、どの企業にとっても基幹業務を長期間支える中核のシステムとなる。そのためパソナテックは、ビジネスモデルやサービスの変更に合わせて、柔軟に対応できるようなサポート体制を構築している。

同社の執行役員兼事業部長である長谷川芳紀氏は「国内のIT業界ではすでにエンジニア不足が喫緊の課題となっています。はやめに準備に取り組まなければ、多くの企業が2027年に向けた移行プロジェクトに大きく遅れをとることになるでしょう。実際に現時点、日本では多くのSAP ERP導入企業が、SAP S/4HANA🄬への移行に着手できていないと言われています」と現状の課題を指摘する。

こうした2027年問題を見据えたTISは、今回パソナテックと約半年間のプロジェクトを実施。「SAP S/4HANA🄬」を用いたテストの自動化やBTP(ビジネステクノロジープラットフォーム)との連携を実証するPoC(概念実証)を進め、今後のシステムのあり方について検証を行った。

SAP社が提供するBTPは、先進的な技術要素を組み込んだ総合的なプラットフォームサービスだ。データの管理や各アプリとの連携が可能なほか、AI(人工知能)やチャットボット、ブロックチェーン技術を活用しながら、さまざまなプラグイン(アプリケーションの機能を拡張するソフトウェア)をシームレスに統合できるメリットがある。

「BTPは、オープンな技術を用いての画面開発を実施することができること。また、SAP ERPを始めとするSAP社の製品群との連携の容易さが特徴として挙げられます。そこで、BTPをベースに将来的にどのようなシステムが構築できそうかといった観点から、弊社とパソナテックさんがもつ知見をもとに検証を進めていきました」(TIS社ERPコンサルティングユニット ERPコンサルティング第4部 齊藤頼芸部長)

 

ベトナムの開発拠点を活用し、コストの抑制とスピード感を重視

パソナテックはTISとのPoCプロジェクトにあたって、ベトナムの開発拠点を活用。現地の通訳者を含めて3人体制のチームを形成し、日本側のSAPのエンジニアとも連携した。また、全体の開発の一部をベトナムチームに集約することで30%以上の開発コスト削減ができることも確認できた。

パソナテックベトナム メンバー

パソナテックはベトナムのホーチミンにバージョンアップの拠点、ハノイに開発の拠点を構える。バージョンアップ拠点ではテスト自動化サービスのテストスクリプト開発とテスト実施を手がけており、開発拠点ではABAP、Fioriなどでのアドオン開発や、BTPにおけるS/4HANA拡張開発などに取り組むなど、それぞれに異なる強みを有する。

パソナテックのERP事業部でマネージャーを務める杉山健太郎は「プロジェクトの進行にあたって毎週開催していた課題検討会には、現地のエンジニアやスタッフにも参加してもらい、共通の認識を持てるような工夫を心掛けていました。ベトナムチームは、ただ単に作業を依頼する相手ではありません。共に同じゴールを目指すメンバーと捉えて、プロジェクトの推進力を高めていきました」と話す。

PoC期間中は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、ベトナムチームとのコミュニケーションの多くはオンラインで実施された。そこで、伝えたい内容を図で表現するといったビジュアルでのコミュニケーション方法も重視するなど、日々の業務内でも細かな工夫を重ねていった。

こうした開発体制のグローバル化について、パソナテックの長谷川はこう語る。

「ベトナムの開発チームはもちろんのこと、パソナテックでは今後もBTPを積極的に展開することを見据えて、外国籍の人材を交えてチームを構成しています。BTPをはじめ、ITやテクノロジーに関する新たなトレンドや情報は英語文献で記載されているケースが少なくありません。こうした最新情報を常にキャッチアップするためにも、多国籍なメンバーとともにプロジェクトに取り組める体制を構築しています」(パソナテック執行役員兼事業部長 長谷川芳紀)

 

パソナテックが手がける、DX化に向けた一気通貫のサポート

約半年間のパソナテックとのPoCプロジェクトを終えたTISは、今回得た知見をもとに、今後のシステムの活用や応用方法についてさらなる検討を進めていく。同期間を振り返って、TISの齊藤氏はこう語る。

「パソナテックさんには機動力の高いチームを編成していただき、スピード感をもってプロジェクトを進めていただきました。もちろん、技術面でのサポートも大変ありがたかったですね。弊社はSAPに関する知見は多く有してしましたが、それが今後どのようにBTPに繋げられるのかといった部分が不明瞭でしたので、トライアンドエラーを繰り返しながら仮説をもとにデータを集めることができました」(齊藤氏)

パソナテックではこうしたPoCはもちろんのこと、「SAP S/4HANA🄬」の導入や企業のDXを推進するうえで、様々なサポートを展開している。また、BTP上でのシステムの開発や検証のほか、「SAP S/4HANA🄬」とBTPの連携などに関しても、最新技術を用いてプロジェクトを進めることが可能だ。

例えば、「SAP S/4HANA🄬」をサポートしたテストツールでは、テストを再利用できるソリューションを強みにすると共に、テスト実施に関しては単に自動で実行するだけではなく、テストの結果にもこだわった「テスト自動化サービス」を展開し、最終的にはユーザー企業のテスト実施工数の80%ほどの削減にもつながるように取り組んでいる。

社内には「SAP S/4HANA🄬」の認定資格取得者が約50人在籍しており、フルリモートやリモートと常駐のハイブリッドでの体制構築も可能だ。また、リモートが前提であれば地方などの遠隔プロジェクトにも対応している。

2027年以降の将来を見据えて、多くの企業は自社にとって最適なシステムの構築を再度吟味する必要がある。パソナテックの長谷川は、「私たちが重視しているのは、S/4HANA🄬の導入プロジェクトにおけるそれぞれのフェーズごとの最適化です。それらを積み重ねシステム全体の最適化に貢献していくことです。SAPのERP製品を導入している企業にとっては、2027年までの時間を有効に活用できるかどうかがこれからのビジネスの成功を占う鍵になるでしょう。私たちは今後もお客様と一緒にイノベーションの成功に向けて伴走し、最大の効果を発揮できるようにサービスを展開していきます」と語った。

 

利用サービス

SAP S/4HANA🄬(エスエイピー・エスフォー・ハナ)

SAP社が提供する、各基幹業務を一括してサポートするERP(Enterprise Resources Planning)製品

 

SAP Business Technology Platform(BTP/ビジネス・テクノロジー・プラットフォーム)

SAP社が提供する、データ管理や拡張機能が一つに統合されたプラットフォーム

 

インタビュー参加者

TIS株式会社

ERPコンサルティングユニット ERPコンサルティング第4部部長 齊藤 頼芸(よりあき)氏

 

株式会社パソナテック

ERP事業部 執行役員兼事業部長 長谷川芳紀
ERP事業部 マネージャー 杉山健太郎

 

インタビュー日時:2021年9月17日

SAP FioriとBTPが理解できる基本ガイドブック