SAPマイグレーションとは?手に入れるべき企業の成長基盤を解説

SAPマイグレーションとは何でしょうか。SAPユーザー企業が直面している、SAPマイグレーションの基本情報をあらためて確認します。SAPマイグレーションの必要性や、S/4HANA導入プロジェクトを進めるための目標設定について、注意点とプロジェクト失敗リスクを回避する方法について解説していきます。

SAPマイグレーションとは

マイグレーション(Migration)といえば、「移住・移転・移動」を意味する言葉ですが、ITの分野では新しいシステムの導入が必要となった際に、既存システムの機能やデータを新しいシステムに移行することに使われます。それでは、最近よく耳にするSAPマイグレーションとは何でしょうか。

企業経営に欠かせないERPパッケージシステムの世界シェア第一位であるSAP社は、一世代前のECC6.0向けサポートサービスの提供を、2027年までで終了すると発表しました。これはつまり、現在ECC6.0を利用しているユーザー企業は、2027年までに新たにERPシステムを構築して、現行システムから機能やデータの移行を実施しなければならないということです。

ERPパッケージ導入プロジェクトの規模は、数億から数十億円にもなるのが一般的で、そのような大規模のシステム開発を滞りなく進めるためには、莫大な人的リソースが必要となります。しかしながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)対応などのニーズの高まりもあり、IT業界全体において人手不足の状態が続いています。ERPの知見を持ったコンサルタントやエンジニアも同様に不足しています。SAPマイグレーションのプロジェクトを2027年までに完了するためには、一刻も早いプロジェクトへの着手が求められている状況なのです。

プロジェクトへの着手の準備として、どのようなことを検討する必要があるでしょうか。まずはマイグレーション先としてどのシステムを導入するのか選定する必要がありますが、ほとんどの企業がSAPの最新ERPパッケージであるS/4HANAの導入を検討しているといいます。それではS/4HANAの導入に多くの企業が期待することついて、詳しく解説していきます。

SAP S/4HANAの導入に期待すること

変化の激しいビジネス環境において、企業経営に求められるのは素早い意思決定とさまざまな変化への柔軟な対応です。大企業に比べて資金や人的リソースの面で不利な環境におかれる中小企業にとっては、なおさらこの二つの要素が組織の成長に大きな影響をあたえます。しかし、実際はこの二つの要素の足かせになっている課題があります。

ひとつめは、データ収集の問題です。旧来のERPにおいては、データをBIツールに同期したうえで指標を可視化するか、表計算ソフトを使って手作業で経営分析を行っている企業がほとんどです。このような対応方法では、素早い意思決定に限界があることは明らかです。

もうひとつは、旧来のERPが大変複雑化しているという問題です。構築された当時は、最大限の機能を集約したうえで、自社の業務プロセスに合わせた大量のアドオンを実装するのが主流でした。独自の業務プロセスにフィットさせて肥大化したERPは、手軽にシステム改修することが難しく、思うようにビジネス改革を進められないという課題を多くの企業が抱えているのです。

SAP S/4HANAの導入により、これらの課題を解決できます。SAP S/4HANAには非常に高速なトランザクション処理を可能にする、インメモリーデータベースが組み込まれています。そのため、時間のかかる同期処理や手作業を行うことなく、リアルタイムなデータの分析結果をいつでも簡単に確認することができるようになります。

また一方で幅広い業種・業務に対応したビジネスシナリオのベストプラクティスを利用することが可能です。独自の業務プロセスを、標準的な業務プロセスに置き換えて、AI、機械学習、高度な分析機能などのインテリジェントな技術を活用することで、ビジネスニーズの変化に合わせた柔軟なシステム変更が可能となります。

さらに一歩進んで、資産管理、生産計画、ワークフロー、人事管理、セールス、サービス、調達・購買、サプライチェーンなど、組織全体への迅速な意思決定をサポートします。例えば、顧客へのサービス提供に遅延が発生することが事前にわかっていれば、顧客の信頼を失うことは避けられるでしょう。受注予測にあわせた在庫の調整が実現できれば、コスト削減につながります。財務データを監視しアラームをあげられるシステムがあれば、柔軟な対応ができるようになります。大手企業でしか実現できなかったようなグローバル展開や、高度なマーケティング分析などを、手間なく実現することが可能です。

予測データ分析・RPA・AI技術を使用することで、SAP S/4HANAの業務プロセスにおいて、人が手作業で行わなければならないラストワンマイルの複雑な入力業務の自動化をも実現し、企業にデジタル化を通じたビジネス変革をもたらします。SAP S/4HANAを活用することで、経営課題の解決や業務の効率化、コスト削減などが可能になります。

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移行プロジェクト成功の決め手となる目標設定とプロジェクトの進め方とは

システム移行プロジェクトの実施理由が現行システムの老朽化である場合は、システム移行の前後で同じような業務プロセスが行えることが、プロジェクトの達成目標となります。

いっぽうSAPマイグレーションの場合は、単なるシステム老朽化の対応ではなく、むしろ企業の成長促進がシステム移行を行う目的とされます。そのため、投資価値を反映したプロジェクト計画を立案する必要があります。SAPマイグレーションの開発規模は非常に大きくなる傾向にあり、単なるシステム移行が目的ではプロジェクトの動機としては物足りないというのも確かです。SAP S/4HANA導入で得られる付加価値を最大限に活用することを、プロジェクトの達成目標として掲げれば、プロジェクト予算の確保がしやすくなるといいます。

もちろん、たくさんの複雑な目標設定は悪いことではありません。しかしながら、プロジェクト計画の進め方には注意が必要です。一般的に、複雑で多くのミッションをもったプロジェクトは長期化するのが当たり前です。しかし、移行プロジェクトの長期化は何が何でも避けるべきです。なぜなら、ビジネスを取り巻く環境はどんどん変化しているため、新システム稼働開始までに時間がかかればかかるほど、計画当初の要求が、ビジネスにおいて本当に必要なものでなくなっている可能性が大きいからです。

長期間かけてやっと使えるようになったシステムが、すでに役に立たないものになっていたとしたら、目標達成どころの話ではありません。SAPマイグレーションを成功させるためには、まずは最低限の範囲に絞って移行を実施し、なるべく早く新システムを稼働させるやり方がおすすめです。課題対応のための業務プロセス改善は、新システムが稼働したあとでひとつずつ対応することが重要です。優先順位をつけてなるべく小さい単位に区切って目標達成していくことで、無駄な機能開発や陳腐化のリスクを最小限におさえることができるのです。

まとめ

SAP S/4HANAは企業の成長を助ける最強のERPパッケージであり、多くのSAPユーザー企業が導入に向けて行動を開始しています。すでに移行を完了した企業もどんどん増えています。S/4HANAに装備されている標準機能を利用すれば、素早く移行を完了することができるのです。SAP S/4HANAへのマイグレーションで、企業の成長基盤を手に入れてください。

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