我々はSAP導入企業に関して、テスト自動化ツールの設計、開発を日々、ご提案しています。
SAPマイグレーションにはテスト工数の削減が図られるなど様々なメリットやデメリットがあります。テスト自動化ツールがどのなような役割を果たしていくのか解説していきます。
SAPマイグレーションのメリット
SAPの戦略として、当初からバージョンアップを繰り返し行い、古いバージョンを使い続けるユーザに対しては、保守契約を切るという形で、半ば強制的にバージョンアップを繰り返し行う戦略を続けています。
現在、S/4 HANAという新製品が世の中に浸透してきつつあります。
個人的に、S/4 HANAのプロジェクトには参画した経験がないため、あまり詳しく説明することはできませんが、世間一般に言われていることは、SAPの今までのバージョンアップとは違い、それまで保有していたSAP筐体とは全く違うところにHANAの筐体を作成するというところです。これまでのバージョンアッププロジェクトだと、バージョンを変更するだけで筐体自体は同じであり、バージョンアップによる新機能は特に使用しない場合でも、SAP自体はそのまま使用できました。そして、これまで使用していた標準機能、アドオン機能が、これまで通り、動き、その結果も今まで通りであることを検証するといったプロジェクトを発足させ、バージョンアップしていくという形式を採ることがほとんどであったと思います。
しかし、今回のS/4 HANA化については、それができないため、各導入企業もどういう風にHANA化していくかについて、いろいろ試行錯誤を重ねていくのではないかと考えられます。
その中で、あくまで私が考える中でのメリットを挙げてみました。
S/4 HANAについては、これまでのバージョンアップとは異なり、筐体が違います。それなれば、いっそ、業務改革も込みで、これまで使用していた機能をすべて見直し、あたかも新規導入のような形で、S/4 HANAを導入する企業の話がよく耳に入ります。
この形式だと、データ移行は、新規導入時に行う手法とほぼ同じで済みますし、また、業務改革も進み、一石二鳥のような感じになるかと思います。
どのような形式をとっても、使用する機能すべてをテストしなければならない、という事実は変わりませんので、同じ工数を使うなら、この方法がいいかもしれません。
SAPマイグレーションでのデメリット
前述したSAPマイグレーションのメリットと相反することになるかもしれませんが、デメリットについて記載します。現在使用している機能をそのまま使い、かつ新機能等は必要ない、という企業にとっては、S/4 HANAの導入は極めて厄介なものになるでしょう。
そのままのバージョンにしておけば、SAPの保守期限が切れ、やむを得ずS/4 HANAにバージョンアップせざるを得ない状況になり、システム的なバージョンアップだけしたいと思っても、その工数は新規導入時とそう変わらない工数がかかると思われます。
これまで使用していた機能もすべてテストし直さないといけないですし、なおかつ、これまで使用していたデータベースなどが変わる場合があるので、データ変換などが必要になるかもしれません。私自身、まだこのパターンでのバージョンアッププロジェクトについての経験がなく、また、他のプロジェクトの話も聞いたことがないので、具体的にどのような感じでプロジェクトが進行しているのか把握できていません。単純には想像できないので、工数もかかるし、かなり難しいだろうな・・、とは思います。
結果的に、上のSAPマイグレーションのメリットで触れたようなやり方になるのかもしれませんね。工数もあまり変わりませんし。
企業にとったら、大きな費用を払うのは、納得いかないかもしれませんが。。。
SAPマイグレーションテストとテスト自動化
一般的には、SAPのテスト工数、またエビデンスの作成には、多大な工数を要します。
テストで使用した画面のキャプチャは残すともなれば、テスト実施にかかる時間よりも、その画面を1つ1つ開いて、キャプチャを取っていく。。。というような従来の方法だと、エビデンス作成の工数も莫大となります。そこで「テストアーキテスト」というテスト自動化ツールをご紹介いたします。
テストアーキテクトで使用できる機能の1つとして、CP-ACCELというツールがございます。このツールを使用すると、テストアーキテクト実行中に使用した画面、ログをキャプチャしたものをEXCELとして保存するだけでなく、帳票などがあれば、他のEXCELと比較するようなことも可能です。
すなわち、複数のシステムやクライアントで、テストを行い、その結果を比較することが可能です。アップグレード時など、機能の中身が変わっていないことを証明するのに、適したツールとなっています。
この後、S/4 HANAにバージョンアップするプロジェクトが、その中で、新旧比較して、違いがないテストをする、というようなことが出てくると思われますが、このツールが力を発揮し、工数の削減に大きな力を及ぼすかもしれません。
SAP導入企業のテストアーキテクトの導入によって、実際のお客様からは、こんな声が聞かれます。導入した結果、テスト工数が大幅に削減された、テストデータを投入するのに、
時間がかからなくなった。等。。
また、こんな声も聞かれました。
テストシナリオも作成されると聞いていたが、そこまでは実現してくれなかった。
社内で開発している他のツールと比較したが、単価が高かった。
どこでどうすれ違ったのか、さすがに、テストシナリオは人間の判断によって作られるので、テストシナリオまでは作成してくれません。
ただし、テストアーキテクトでは、ログをすべて残してくれた上で、エラーか正常かを一覧化して見ることができるので、どのケースが正常にいったか、どのケースがエラーになったのかを、後で分析することができます。
また、社内で開発している他のツールとの比較ですが、社内開発と比較しては、さすがに単価が安くなることはなく、さすがに比較以前の問題でした。しかし、SAPにまつわるプロジェクトと比較すれば、このテストアーキテクトのプロジェクトの導入費用は、比較にならないほど安価なものだと言えるでしょう。
しかし、このテストアーキテクトのプロジェクトはまだまだ始まったばかりです。
これから、このプロジェクトを発足していくためには、いろいろな事象を経験し、その課題を乗り越えていかなければならないでしょう。
最近では、SAPの周辺ツールが、非常に増えてきたような気がします。周辺ツールの特徴も様々で、SAPの導入時に有効であったり、SAPではできないような機能を持ったツールが生まれてきています。
我々、ベンダー側からしても、どのツールを取り入れ、どのツールを取り入れないか、非常に判断が難しいとは思いますが、ユーザー側でも同様に、その判断には難しいところがあるでしょう。
ただ、我々ベンダーとは違い、ユーザーにとっては、価格という重要な要素があるので、少なくともその観点では、このテストアーキテクトは、その基準は満たせるのではないかと思われます。
■まとめ
まだ、世間では、テストアーキテクトというものが浸透していないでしょう。
今、日本の企業の多くで、SAPが導入され、長期間の運用が始まる中、今後、小規模の追加開発、仕様変更、はたまた、大規模のアップグレードなど、様々な局面で、このテストアーキテクトが力を発揮していくのではないかと思われます。
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