SAPのHANAとS4HANA (S/4HANA)の違いとは?

SAP HANA、SAP S4HANA(S/4HANA)は共にドイツに本社を構えるSAP社が提供するエンタープライズ(法人)向けのソフトウェア製品です。

どちらも「HANA」という単語が入っており、パッと見て同じ製品のバージョン違いか?と思われがちですが全く別の製品です。

本稿ではこのSAP HANAとS4HANA(S/4HANA)の違いについて解説していきます。

SAP HANA とは

SAP HANA(エスエイピー ハナ)は2010年にSAP社がリリースしたカラムストア型リレーショナルインメモリーデータベースです。広い意味ではHANA用アプリケーションの実行環境や開発環境などの周辺機能を含めたプラットフォーム全体を指す場合もありますが、ここではそのデータベース単体について解説していきます。

まず、今までの一般的なデータベースではハードウェアに搭載されたハードディスクにデータを保持しながら動作していました。

これに対し、SAP HANAでは「インメモリデータベース」は、メモリ上に全てのデータを保持しメモリ上で処理を行うことで従来のハードディスクでの処理に比べて圧倒的に高速な処理ができるデータベースになっています。

従来のハードディスクでは物理的なディスク装置をモーターで動作させるという機械的な動きが発生するため、どうしても処理速度に限界がありました。

このような欠点を補うためSAP HANAでは全てのデータをメモリ(半導体)内に展開し、動作させることでデータの読み書きを非常に高速に行える特徴があります。

そしてもう一つの特徴がカラムストア型であるということです。

別の言い方として「カラム型」あるいは「列指向型」と呼ばれる場合もあります。

一般的なデータベース製品として、例えばOracleやSQL Server、PostgreSQL、MySQLは「行指向型」のデータベースになります。

カラム型のデータベース製品としては、Exadata、Verticaなどがあります。

SAP HANAの説明の多くは「インメモリ」であることを取り上げられているケースが多いのですが、特徴としてこの「カラム型」であるということは結構重要なのではないかと思いましたので、その特徴を少し掘り下げてみたいと思います。

このカラム型のデータベースの特徴の一つに、データの圧縮効率が高いという点があります。

列単位のデータを見ると、当然データ型は同じであり、同じ値のデータが繰り返し入っていることが多くあります。

そのため列方向のデータでは圧縮が可能となり、データ容量の削減が期待でき、場合によってはオリジナルデータの数分の一の大きさになることもあります。

現在のビッグデータ時代においてストレージコストの面でも大きな効果があるのではないかと思います。

また、行指向型のデータベースでは、行単位でデータを保持、取り出しを行えます。

少数の行に対する多くの列の取得や更新を効率的に行うことができ、データの追加も行単位で行われます。一方で少数の列に対して集計処理を行う場合には非効率な動きとなります。

これに対しカラム型のデータベースでは、列単位でデータの取得、取り出しを行い、大量の行に対する少数の列の集計処理や、全ての行に対しての更新を効率的に行うことができます。そのため、特定の列の値をまとめて処理できるのが得意ですが、特定の行を更新したり削除したりするのは苦手となります。

行指向型とカラム型の特徴をまとめると、行指向型では、頻繫にレコードにアクセスしデータを更新することや、インデックスを使用した検索によるオンライントランザクション処理が得意です。一方でカラム型では、主にデータ分析のために最適化され、列を抜き出して大量データに対する集計処理を高速に行うことが得意なため、列データの圧縮によるデータ容量の削減効果が高いのが特徴となります。

SAP S/4HANA マイグレーションで知っておくべきこと、今からやれること、とは?

SAP S4HANA(S/4HANA)とは

SAP S/4HANA(エスエイピー エスフォーハナ)は前述のSAPのインメモリーデータベース「SAP HANA」をプラットフォームとする2015年にリリースされた同社の第4世代のERP製品です。

まず、この「ERP」とは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し有効活用する計画(考え方)を意味しています。

実際には基幹系の情報システムを指すことが多く、企業の経営戦略にも重要な位置付けとなっており、ERPの最大のメリットは「情報の一元管理」にあります。これにより業務間でのデータのやり取りの手間がなくなり、リアルタイムで企業の経営状況が確認できるようになります。またこれらの製品をERPパッケージ、ERPシステム、業務統合パッケージなどと呼ぶ場合も多くあります。

SAP S/4HANAは、従来のSAP ERPのアーキテクチャとは異なり、全面的に再構築してデータモデルを簡素化し、同時にSAP HANAを採用することにより高速なデータ処理を実現しました。

これまでは他社製品を含む主要なデータベースを選択可能でしたが、SAP S/4HANAではSAP HANAが前提となっています。

また、SAP S/4HANAの構築環境においてはオンプレミスでもクラウドでも、ハイブリッドでも自由に選択することができます。AWSやAzure、Google Cloud Platformといったパブリッククラウドなどにも対応しているため、より戦略的な情報システムを構築することが可能となっています。

S/4HANAの特徴をまとめると、

  1. レスポンスタイムゼロ

  SAP HANAのデータベースを採用することによりデータ処理速度の向上

  1. ストレージコストの削減

  こちらもSAP HANAのデータ圧縮によりデータサイズの縮小化

  1. クラウド対応

  SAP S/4HANAではオンプレミスに加え、クラウド(プライベートクラウド、パブリッククラウド含む)での運用が可能

SAPのHANAとS/4HANAの違いについてまとめ

・ここまでSAP HANAとSAP S/4HANAそれぞれについて解説してきました。

総括いたしますと、HANAは新しい種類のデータベース、S/4HANAはそのデータベースを基盤として動くERPソフトウェア群ということになります。

この機会にSAP HANA及びSAP S/4HANAについての理解を深め、次世代の情報システム構築に向けて検討してはいかがでしょうか。

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