SAP S/4HANAのメリットとデメリットを解説

2027年にSAP ECCサポート終了を控えるなか、SAP S/4HANAへの移行を検討している方も多いかと思います。検討をするうえで大事なことのひとつに、SAP S/4HANAのメリットとデメリットを比較することが挙げられます。もちろん、移行の場合だけでなく、これからはじめてSAPを導入しようという方にもメリットとデメリットの比較は大事なことです。

本記事ではSAP S/4HANAのメリット、デメリットについて解説していきます。

SAP S/4HANA とは?

最初にSAP S/4HANAについて説明します。

SAP S/4HANA は、2015年に提供開始されたSAP ERP製品の最新のバージョンです。その前のバージョンであるSAP ERPから、実に十数年ぶりのSAP ERP製品です。

さまざまなものがデジタルにつながる現在のビジネスシーンにおいて、シンプルに、そして迅速に、価値を創造することをコンセプトに開発されました。

SAP S/4HANA のメリット

さて、SAP S/4HANAのメリットはたくさんありますが、ここでは3つのメリットを挙げていきます。

1つめのメリットは、データベースにSAP HANAが使用できるようになったことです。

SAP HANAは、その名の通りSAP社が提供しているデータベースです。最大の特徴はインメモリデータベースであることです。インメモリデータベースはデータをSSDやHDDなどのストレージに書き込むのではなくメインメモリに書き込むため、処理を高速化できるというメリットがあります。ある事例では、従来50分かかっていた処理が15秒ほどで終わるなど、300倍を超えるパフォーマンス改善を見せています。

また、SAP HANAではOLTP と OLAP の統合されているため、リアルタイムでの分析が可能になりました。OLTPとは「OnLine Transaction Processing」の略で、処理の始まりから終わりまでの一連の流れのことを指します。一方のOLAPとは「OnLine Analytical Processing」の略で、蓄積されたデータを元に分析をすることを指します。

従来のSAP ECCではOLTP と OLAPは別々のアーキテクチャであり、OLTPでの結果がすぐにOLAPに反映されるのではなく、わずかながらもタイムラグがありました。しかし、SAP S/4HANAではOLTP と OLAPが統合されており、OLTPの結果がOLAPに即時反映されます。つまり、データが発生すると同時に分析することが可能になります。これはめまぐるしく変化するビジネスシーンにおいて、大きな利点となります。

2つめのメリットは、SAP Fioriという新たなユーザーインターフェースが追加されたことです。

S/4HANAでは、SAPユーザーにはおなじみのSAP GUIに加えて、SAP Fiori というインターフェースも利用できます。SAP Fioriはhtmlで作成されているので、アプリケーションのインストールの必要がなく、またさまざまなデバイスからのアクセスが可能です。

また、SAP FioriにログインしたあとにSAP Fiori launchpadという画面が表示されるのですが、ここにあらかじめ設定しておいた検索、パーソナライズ、通知などの情報を並べて表示させることができます。これにより、業務の状況や異常値をビジュアルで即座に把握することできます。たとえば、自分が承認する必要のある購買発注管理情報を表示させるなど、設定内容は自由にカスタマイズ可能です。

3つめのメリットは、システムの導入オプションにクラウドが追加されたことです。

S/4HANAでは、これまでのオンプレミスに加え、クラウドでの提供も可能になりました。

クラウドの場合、ベストプラクティスに基づいて業務を合わせる必要があるなどの制約がありますが、導入期間やメンテナンス作業などのコストを大幅に削減することができます。一方で

企業特有の業務要件を満たしたい場合には、これまでのようにオンプレミスも使用できます。

クラウド提供の開始で、システム構成の選択肢はより広くなりました。

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SAP S/4HANA のデメリット

ここまでSAP S/4HANAメリットを挙げてきました。それでは逆に、デメリットは何でしょうか。

1つは、データベースがSAP HANAのみしか使用できなくなったことです。

メリットの解説の際にも述べましたが、SAP S/4HANAのデータベースはSAP HANAです。

それ以外のデータベースは使用できません。

SAP ECCではSAP社以外のデータベース(Oracle Database、SQLServerなど)も使用できたので、そういう意味では自由度が下がったといえるかもしれません。ただ、先述したように、SAP HANAは従来のデータベースに比べて圧倒的なパフォーマンス改善が期待できるため、SAPとしては、データベースを自由に選択できるメリットよりも、SAP HANAにすることのメリットのほうが大きいと判断したのでしょう。

もう1つデメリットとして挙げるとすれば、他のSAPシステムとの互換性を考慮する必要性があることです。

SAPはSAP S/4HANA以外にもたくさんの製品を出しています。代表的なものとして、SAP CRMやSAP SCMなどがあります。SAP S/4HANAではこれらのシステムとも連携をすることで、より価値のあるソリューションを提供しているのですが、連携のためには対応バージョンなどの制約事項がそれぞれの製品ごとにあります。そのためシステム連携をしているユーザーは、場合によってはSAP S/4HANA以外のシステムもアップグレードするなど、なんらかの対応が必要になる場合があります。

といっても、これはSAP S/4HANAのデメリットというより、システムをバージョンアップや新規導入する際には、かならず発生する問題でもあります。

SAPでは、他のSAPシステムとの連携はそのままの構成を維持して移行することが可能な場合もあるので、リスクとしては低く抑えることができるとも言えます。

まとめ

本記事ではSAP S/4HANAのメリット、デメリットについて解説しました。

SAPのメリットとしては以下があります。

  • SAP HANA採用での処理高速化、OLTPとOLAPの統合によるリアルタイム分析
  • SAP Fioriによるビジュアルでの状況把握
  • 導入オプションのクラウド追加などシステム構成の柔軟化

一方、デメリットとしては以下があります。

  • データベースのSAP HANA限定
  • システム互換性の問題

SAP ECCユーザーの方は、サポート期限が切れるまえに、なんらかの対応をしないといけません。おそらく多くの方が、SAP S4/HANAへとマイグレーションすることになるかと思います。

本記事でお伝えしたように、SAP S4/HANAはデメリットを上回るメリットがたくさんあります。いずれにせよ、SAP S4/HANAの特徴をしっかり理解したうえで、マイグレーションやSAPの新規導入をすすめることが大事です。

本記事がその一助となっていれば幸いです。

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