SAP Fiori 画面の特性 開発手法もご説明

「Fiori(フィオーリ)」とはイタリア語で「花」の意味です。SAPの最新DBもHANAという名前で、日本語の「花」を連想させます。意図して命名されたであろう2つの「花」のうち、今回は、タブレットやスマートフォンなどのモバイル環境からも利用できるアプリケーション「SAP Fiori」の世界を覗いてみましょう。ERPシステムでありながら、美しさを求めたFioriの画面について、操作性、開発手法などを解説します。

Fiori画面の操作性

Fioriのコンセプトは「シンプルで直感的なアプリケーション」で、ユーザーにとって分かりやすいことが特徴です。タイルと呼ばれるボタン形式なので、スマホアプリに慣れている世代にはとても親しみやすいでしょう。

SAP経験20年の私からみると、Guiにトランザクションコードを入れて画面を表示するほうが簡単なのですが、新人にとっては違います。大量のトランザクションコードを覚えるより、業務フローに沿って並んでいて、視覚的に一瞬で判断できるマークがついたボタンのほうがユーザーフレンドリーと言えるでしょう。さらにGuiのように1機能にたくさんの情報を盛り込んだものより、必要最低限の項目に絞られた画面のほうが使いやすいのです。

Fioriが注目されている背景には、タブレットやスマホの普及は大きいでしょう。ひと昔前は、パソコンでしかできなった仕事を、今は、出先や車の中でタブレットやスマホから行えます。これがマルチデバイス&マルチブラウザのメリットです。営業マンが、お客様の前でSAPシステムにアクセスして在庫を確認して納期を即答したり、営業車の中で受注を登録することもできます。またマネージャーは経費精算やワークフローの承認などを移動中に簡単に行えるようになりました。以前のように、会社に戻ると、ハンコを押す書類が机の上にたまっている、というようなことがなくなったのです。Fioriを使うことにより、マウスを使ってコロコロとか、トランザクションコードをなんだったっけ?などと考える必要がなくなり、ユーザーは効率よく仕事ができるようになりました。

Fiori画面の開発

SAPの開発といえば、ABAPが主流でしたが、Fioriでは少し違っています。

Fioriフロントエンドの開発にはJavaScriptやHTMLが使用できます。Open系の技術を採用したことで、SAP特有のABAP言語を知らなくても開発ができ、より多くのプログラマーが開発可能になりました。またFioriの開発ライブラリーとしてSAPUI5を提供しており、豊富なテンプレートも用意されているので、初心者でも効率よく開発を進めることができます。

バックエンドの開発には、従来のABAPが使用されるのですが、あえてフロントエンドの開発言語と、バックエンドの開発言語を分けることによってABAPの知識がなくてもFiori画面の開発をすることが可能となっています。お客様の要件を聞き、ユーザーフレンドリーな画面を設計し、その後のSAPのテーブルへのアクセスなどは、ABAPエンジニアに任せることで、SAPエンジニアの人手不足にも対応できます。また画面の修正をおこないたい場合など、ABAPエンジニアに依頼することなく、Open系のエンジニアであれば対応可能なことも、受け入れられやすい要因でしょう。

また設計手法についても、GuiとFioriでは違っています。Guiでは機能をベースで、よりたくさんの情報を管理できるように設計していましたが、Fioriではユーザーの役割や業務フローをベースに設計を行います。そのため、そのユーザーに必要な情報だけを選別して画面を作ることが可能です。

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Fioriアプリケーションの種類

Fioriのアプリケーションには主に4つの種類があります。

  1. Transactional apps:伝票等を登録、更新、参照したり、各種申請の承認をアプリケーション
  2. Fact sheets:システムに集められた情報を検索、閲覧するアプリケーション
  3. Analytical apps:わかりやすくグラフを用いて分析をするアプリケーション
  4. Smart Business:KPIを分析、評価するアプリケーション

Fioriが発表された直後は、「①Transactional apps」の機能が30ほどしかありませんでしたが、今では数えきれないほどのアプリケーションが提供され、日々増えているので、私たちSAPコンサルでも知らない機能があったりします。日々、勉強です。

この中で私が一番使えると思うのは「③Analytical apps」です。Guiでは必要なデータをクエリなどと使用してALV表示し、そのデータをExcelにダウンロードし、さらに報告やプレゼンに使えるデータに加工していました。その加工の手間がなくなり、一発で円グラフや表などが表示されるので、工数が格段に減りました。経営者層に展開する資料には「④Smart Business」のアプリケーションが使えるという評判もよく聞きます。

私がコンサルに入った企業で、昔からの業務だったのだと思いますが、営業の週次報告のための売り上げレポートを、アドミ(営業サポート)の派遣女性が毎週、数時間かけて作っている会社がありました。支店ごと、事業所ごと、営業部ごとのレポートなので、本数にすると20数本あり、水曜日に中間報告を作成し、翌月曜に先週金曜までのレポートを作成するのが、彼女の主な仕事でした。毎週の仕事なら、アドオンプログラムで簡単に出力されるものを作るか、もしくは、クエリで出力したデータをそのまま使うなど、データが欲しいマネージャーが自分でダウンロードする業務改革を提案したのですが、項目の追加が頻繁に起こるとかで営業サイドからNGがでて、受け入れられませんでした。このままでいくしかないかと思っていたところで、Fioriの「③Analytical apps」が機能追加され、出先でタブレットで見ることもでき、経営層へのレポートにもそのまま使用できると評価され、こちらを採用することになり、アドミの無駄な作業がなくなりました。

まとめ

Gui歴が長いと、Fioriはとっつきにくかったり、すでにトランザクションコードが頭に入っているので、Fioriのように直観的である必要がない、と思ったりしがちです。ですが、新人の入社や、人事異動で担当が変わることはよくあることです。その場合、「シンプルで直観的に使える」システムは、業務引継ぎにおいても工数削減、ミス軽減へつながります。

最初にも書いたように、今の20代は子どものころからスマホ世代です。スマホアプリに慣れて育ってきた世代は、確実にGuiよりもFioriを好みます。新しいものを取り入れて、会社のERPシステムをよりよいものにしていきましょう。SAPアドオン

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