SAP Fioriとは? その特徴と機能をご紹介

SAPは機能が複雑で画面の操作方法を覚えるのに時間がかかる、なんて話をきいたことはありませんか? SAP Fiori(フィオーリ)でそのような課題を解決することができるかもしれません。SAP Fioriはシンプルで直感的なデザインを備えた、SAP S/4HANAの標準インターフェースです。旧来のSAP GUIとは全くことなるコンセプトで開発されたSAP Fioriの特徴と機能について解説します。

SAP Fiori(フィオーリ)の特徴

Fioriとは、イタリア語で「花」という意味。SAP Fioriの美しくシンプルなインターフェースデザインはその名のとおり花をイメージしたもので、花を見たときに感じるような直感的なユーザー体験を提供したいというコンセプトに基づいて設計されているのが特徴です。

では、直感的なユーザー体験とはどんなものでしょうか? SAP Fioriが開発される以前のSAP GUIというアプリケーションでは、使いたい画面を開くためにはツリー状にずらっと並んだ何階層ものカテゴリーを順にたどっていく必要がありました。使い慣れたパワーユーザーともなれば、トランザクションコードを直接入力して画面を呼び出すことができるのですが、似たようなトランザクションコードも多く、すべてを暗記するにはそれなりの時間が必要でした。この課題を克服するため、SAP Fioriでは画面デザインが一新されました。ユーザーの役割に応じてよく使う機能だけをメニュー画面に並べることで、使いたい機能を素早く選んですぐに業務を開始できるようになったのです。これなら新しいスタッフもすぐに使いこなすことができそうですね。

このメニュー画面はSAP Fiori Launchpad (ラウンチパッド)とよばれるもので、利用するユーザーごとに細かくカスタマイズすることが可能です。

SAP Fioriのもう一つの特徴は、SAP Fioriがwebブラウザを介して操作を行うwebアプリケーションであるという点です。SAP Fiori Launchpadのようなメニュー画面が実現されている理由は、まさにwebアプリケーションならではといったところでしょう。念のためにお伝えしますが、SAP Fioriはソフトウェアをコンピューターにインストールする必要はありません。一般的なwebブラウザがあればすぐに利用することができます。もちろんレスポンシブデザイン採用のマルチデバイス対応ですので、タブレットやスマートフォンなどのデバイスからもPCと同じ操作感でSAPのシステムを利用することができます。SAP Fioriの導入によって同時にそれらデバイスの活用シーンが広がれば、生産性はさらにあがりそうです。

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SAP Fioriの機能

つづいて、SAP Fioriの機能についてみていきましょう。SAP社は、SAP Fioriを「シンプルで操作性に優れ、直感的なユーザーエクスペリエンスを実現するビジネスアプリケーション群」と表現しています。「ビジネスアプリケーションの群」ということは、「SAP Fioriは複数のビジネス向け機能を持ったwebサイト」ということになります。

SAP FioriはただSAPのシステムを使うための画面というわけではなく、そこに含まれるたくさんのアプリケーションのなかから必要な機能を選択することで、SAPの業務範囲に含まれない業務でもすぐにシステム化を実現できるwebツールなのです。用意されているビジネスアプリケーションは、世界の叡智を結集し最適化された業務シナリオに基づいて開発されたもの。「いまの業務手順、なんだか煩雑だけど何を改善したらいいのかわからないなぁ・・・」とか、「今月もまたこのタイミングで残業しないと仕事が片付かないわ・・・」なんてお悩みを抱えている場合には、一気に解決してくれるかもしれません。

あまたのアプリケーションは、SAP Fiori Apps Reference Libraryのサイトで検索することができます。現在、14,000点を超えるアプリケーションが公開されていて無料で利用することが可能です。

もしどうしても必要な業務ルールに合うアプリケーションが見つからない場合、公開されている開発キットや、Fioriを体現するフレームワークワークであるSAP UI5を利用してオリジナルのアプリケーションを開発することも可能です。現行のSAPの業務領域以外の業務が簡単にシステム化されれば、システム全体の利用率も向上できそうですね。

2013年に発表されたSAP Fioriですが、当初は単なるシステムのUIに、いくつかのアプリケーションがくっついただけのものでした。しかし2016年には「全てのSAP製品のデザイン基盤」と位置付けられる存在にまで進化しました。その進化は現在もとどまることなく続いています。そして現在、S/4HANAからもたらされる、システムの一貫性・統合性・インテリジェンスといったすべてのポテンシャルを最大限に引き出すためには、SAP Fioriの導入が必要不可欠であることはいうまでもありません。SAP FioriとS/4HANAでビジネスの可能性をさらに拡大させる好機ととらえてみてはいかがでしょうか? 

SAP Fioriの活用例

ここからは、SAP Fioriの活用例をいくつかご紹介します。

まずはSAP Fioriの特徴であるマルチデバイスを活用した例です。最近では業務効率を上げるためにスマートフォンやタブレットを業務利用する企業も多くなっています。でもデバイスを導入しただけですぐに生産性があがるわけではありません。当然それらのデバイスで利用できるサービスへの加入やアプリケーションの導入が必要となってきます。会社からスマートフォンが支給されていても、電話とメッセージアプリくらいしか使ってない・・なんてケースもあるのではないでしょうか。または、業務にあわせてアプリを導入したものの、いろいろなアプリに機能が分散してしまって、結局パソコンで一度に作業を済ませたほうが楽、といった人もいるでしょう。パソコン以外のデバイスの利用シーンがどうしても限定的になってしまっていることもあるはずです。そこで、SAP Fioriの登場です。メニュー画面に業務で使うツールをすべて集約すれば、目的のアプリケーションをワンアクションで起動でき、営業先で商談しながらタブレットをつかって発注入力したり、移動中の隙間時間にスマートフォンで申請や承認を済ませられます。必要な業務をいつでもどこでもすぐに終わらせることができて、デバイスの活用が加速できるのです。

つづいて経営層のみなさまにお伝えします。S/4HANAの最大のメリットである高速化されたデータベースを活用して、あなたは何を実現しますか?今までどおり、SAP GUIで出力されるちょっとデータが古くても見慣れた帳票を使い続けたいですか?答えは決まっていますよね。そこで、SAP Fioriの登場です。SAP Fiori Launchpadを経営コックピットのようにパーソナライズすれば、経営状況をいつでもどこでもリアルタイムにモニタリングすることができます。また、進化したインテリジェンスを活用して事業予測を立てることで、先まわりの施策を打つことも可能となります。

最後に、弊社での活用例をご紹介します。

昨今のコロナ対策で、オフィスの使用人数をこれまでの5割以下に減らす必要が生じました。誰がいつ出社するのかを管理する必要があります。そこでASP Fioriに出勤予定管理アプリを作成し利用しています。開発ルームに在籍しているメンバーが縦軸、日付が横軸に表示され、各日付に出社、リモート、休暇などの予定を登録することができます。登録された予定はアイコンで表示されるようになっています。対応してくれたのは業務アプリ開発未経験のメンバー2人で、約2週間ほどで作り上げたものになります。

SAP Fiori ならSAPの業務領域に直接関係しないかもしれませんが、あったらちょっと便利なアプリを手軽に開発して日々の業務をちょっと便利にすることができます。日々のちょっとは積み重なると結構な量になるものです。日々のちょっとの改善が1年後の小さな成果につながり、そして10年後にはとても大きな成果につながることでしょう。

まとめ

冒頭でも触れましたが、Fioriとは「花」を意味することば。SAP Fioriには、たくさんのユーザーに花を贈りたいという気持ちが込められているような気がします。時には花をながめるようにリラックスした気分で画面に向かうことで、今まで出てこなかったような素晴らしいアイディアが浮かんでくるかもしれません。SAP Fioriであなたのビジネスにきれいな花を咲かせてみませんか。

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