SAP BTP メリット・デメリットを知ってみよう

  

2021年6月、SAP社が「顧客がクラウドを最大限活用できるよう支援するサービス」を発表しました。そのコアとなるのが、SAP® BTP(SAP® Business Technology Platform)です。ざっと情報を見るだけだと「SAP社版のよくあるPaaSなのだろう」と先入観を持ちましたが、どうもそれだけでは無いようです。SAP BTPのサービスを詳しく理解するのは大変ですが、Webで確認できる情報からどのようなメリットデメリットがあるのか解説していきます。

SAP BTPとは? (概要のおさらい)

BTPの詳しい内容は、SAP製品ページや他の弊社ブログ内容をご確認頂くことにして、ここではごく簡単におさらいしてみます。

【SAP BTP概要】

  1. SAPが提供するクラウド統合技術基盤(PaaS: Platform-as-a-Service)である。
  2. SAP製品が持つデータの連携ができる。
  3. BTPは大きく分けて4つの機能を持っている。
    • アプリ開発(拡張開発)
    • インテグレーション
    • アナリティクス、データベース&データ管理(GUIツールで操作しやすい)
    • インテリジェントテクノロジー(AI、機械学習、チャットBot、RPA、IoT)
  4. SAP が掲げる「インテリジェントで持続可能な企業を実現」するために必須のピースである。

BTPメリットデメリットを一覧化

ここでは、BTPで出来る事、強みの内容を“メリット”とし、出来ない事(難しい事、推奨しない事も含む)、弱み、懸念点を“デメリット”として記載しています。

主にSAP発表とWeb情報がソースなので、“デメリット”と記載するには正確性にかける面があると思われます。その点につきましてはご容赦お願いします。

※他社競合製品(MS Azure, AWS, GCP, IBM Cloudなどの上位サービス群)との比較ではございません。

No.メリットデメリット(他の手法)
1SAP製品が持つデータの連携ができる。SAP製品”そのもの”の拡張を行う基盤ではない。
2Side-by-side拡張を行う(他のクラウドソリューション及びサードパーティソリューションとの統合)In-app拡張、SAP S/4HANAのコアを強化する事はしない(標準のプロセスやビジネスロジックの派生版開発など)
3アプリケーションに対するプログラム改修やアドオン機能追加をSAP BTP上にリプレースすることでSAP ERPのバージョンアップ時に影響を与えない。(クリーンコア)既存業務やアプリケーションの内容により、必ずしも、S4/Hana(コア部分)のアドオンを0にできる訳ではない。ただ、極力少なくする事でシステム安定性とアップグレードが容易になるのは間違いない。
4既存の ABAP 資産やノウハウを活用できる全てそのまま流用できる訳ではない。また、今後はABAPからのシフトが進んでゆく。
5Low code/No codeによるアプリケーション拡張・融合(開発効率向上)アナリティクスではGui操作による開発も可能であるが、他分野では実装中・効率化中の部分がある。
6フルスクラッチ特化のエンジニアでなくても参入しやすい。なし
7今後、独自の言語やフレームワークを導入することはしない。ABAPからのシフトが進む。ABAP開発もまだまだ行われる(と思われる)。
8データ保持の安全性、コンプライアンス遵守
◎セキュアで認定された環境で動作する
 ・ワールドクラスのデータセンター
 ・高度なネットワークセキュリティ
 ・信頼性の高いデータバックアップ
なし(他社製品を組み合わせて、セキュリティやコンプライアンス遵守を守るのはかなりの労力が必要と思われる)
9SAP BTPトライアル環境で無償のPoCが可能。全ての機能が使える訳ではない(だが、PoCに必要な機能は揃っているとの事)
10オンプレミスのアプリケーションでも、クラウドアプリケーションでも拡張できる。オンプレミスシステムのみでの実装はNG。
11高度なインテリジェントテクノロジーを利用できる。(AI、機械学習、チャットBot、RPA、IoT)なし
12クラウド基盤はハイパースケーラー、パブリッククラウドの中から選択可能。(AWS、Azure、Google Cloud、Alibaba)なし

SAP S/4HANA 導入支援サービス 基本ガイドブック

BTP一覧内容の補足・解説

No.01 BTPはS4/HANAの拡張が主となるが、ビジネスに合わせてS4/HANAとデータ連携やプロセス連携を行った拡張アプリケーションも開発できる。

No.02 例えば既存ERPでもBTPを使って『Side-by-Side拡張』を選択すれば、ABAPではなくJavaScriptなどのオープンな開発環境を利用できるため、開発コスト低減が可能。

No.03 SAP S/4HANAの新規導入およびマイグレーションでは、運用・保守の効率化を重視し、クリーンコアを前提とした導入が主流となっていく。SAP製品のコアシステムはカスタマイズせずに、各社特有の拡張はクラウドで開発してゆく構成はあらゆる面で多大なメリットがあるため。

No.04  開発者はSAP S/4HANAでも活用されているABAPノウハウで、SAP BTPでABAPアプリケーションを開発・実行できる。

No.05 ローコード/ノーコード開発ツールベンダーAppGyverの製品を基にしたバックオフィス業務効率化関連機能「SAP AppGyver」が組み込まれる。「SAP Process Automation」は、ノーコードでビジネスユーザーがワークフローとRPAを定義できるソリューションとなる。「SAP Work Zone」 により、ビジネスユーザーは、リッチで視覚的な組み込み型ページエディタ、使いやすいテンプレートやカード、ウィジェットを使用して、魅力的なチーム/部門のワークスペースを作成、設計、パーソナライズすることができる。

No.06 開発にエンジニアだけでなく、業務ユーザも参加することで効率的かつコンプライアンス遵守した拡張が期待できる。

No.07 現状のSAPエンジニア不足を考慮すると、ABAPに固定しない開発手法のメリットは大きい。

No.08 データベースとデータ管理ソリューションを、単一のゲートウェイを介してデータの包括的なビューでデータランドスケープを制御できる。

No.09 SAPアカウントがあれば80以上の機能を利用可能。利用方法などはSAPブログに詳しい情報があるので、詳しくはそちらを参照。https://blogs.sap.com/2021/06/09/hana-cloud-free-trial-create-instance-v3/

No.10 クラウドが前提のサービスである。オンプレミスが使えない訳ではなく、オンプレミスと他システムのBTPを利用した連携や開発は可能である。

No.11 これらの機能は高度なDXで高い効果を発揮するため必要であり、RISE with SAPに付帯する無償バウチャーにて利用できる。

まとめ

SAP BTP メリット・デメリットを知ってみよう」と題しまして、ご説明してまいりました。ERPアドオン機能追加による「製品コアシステムの安定性」、「アップグレードの安全性」、「データセキュリティの信頼性」の低下は、ほとんどのユーザ企業が常に頭を悩ます問題です。

この点の不安が大きく低下して対応が容易になるというだけでも、BTPの導入メリットは計り知れないほど大きいと考えられます。SAP社は開発・統合のさらなる効率化も進めているとの事で、今後は“SAPシステムの拡張はBTPが当たり前”になってゆくのではないでしょうか。

<注意>このブログ内容の多くは、SAP社の製品HPを参考にして記載しております。(2022年4月時点)

より最新かつ正確な情報が必要な場合はHPをご確認ください。

SAP Business Technology Platform

https://www.sap.com/japan/products/business-technology-platform.html

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SAP FioriとBTPが理解できる基本ガイドブック
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