SAP Business Technology Platform (SAP BTP) とは?

多くの企業が、将来の成長や競争力の強化のために、様々なデジタルツールを導入し、スピーディーな事業展開をしようと努力をし続けています。

一方で、新たなツールを導入したがために、ビジネス上の貴重なデータの収集先が分散されてしまい、正しく分析できていれば得られたはずの価値を、そのことに気が付かないまま失っているケースも少なくはないかと思います。

特に、従来からある基幹システムと、新たに導入した、あるいはすることとなったSaaSサービスとの間に発生するデータの乖離は、一筋縄ではいかない解決すべき課題となっているのではないでしょうか。

このような課題に対し、基幹システムが SAP 社 ERP を使っていることが前提とはなりますが、「SAP Business Technology Platform (通称 SAP BTP)」がどのような解決方法を提供してくれているのかに触れていきます。SAP BTPの導入ポイントも解説いたします。

SAP Business Technology Platform とは

SAP Business Technology Platform(SAP BTP)とは、その名の通り SAP 社の提供するクラウドプラットフォームです。

ご存知の方も多いかと思いますが、公式のイメージが最も全体像をつかみやすいので、掲載します。

参照元: SAP News Center

このイメージの通り、SAP BTP は 様々な環境と連携するためのサービスと、連携先サービスが保持するデータおよび SAP BTP そのものに蓄積したデータを統合したデータ分析サービスなどが提供されます。

その他 RPA や AI といった先進的なサービスも提供されますが、今回はこれらには触れず、主に「連携」を主としたサービスに焦点を当てます。

SAP Business Technology Platform が提供するサービス

SAP BTP には多種多様なサービスが存在します。その数は本記事を執筆時点で97種(※1)と実に多いのですが、先述のイメージの通り大きく4つにカテゴリ分けすることができます。

  • Database and data management(データベースとデータ管理)
  • Analytics(分析)
  • Application development and integration(アプリケーション開発と統合)
  • Intelligent technologies(インテリジェントテクノロジー)

このような4つのカテゴリーは、それぞれにサービスが紐づくのですが、その中でも「連携」に関係するサービスとなると、”Extension Suite” と “Integration Suite” は外せないでしょう。

Extension Suite

アプリケーションや、レポート等を新規構築するためのサービス群の総称です。

例えばノーコード・ローコードツールである”SAP Business Application Studio”や”AppGyver”、BIツールである”SAP Analytics Cloud”が含まれます。

Integration Suite

オンプレミスとクラウドの統合や、他社クラウドサービスとの接続機能を提供するサービス群の総称です。

例えば”Open Connectors”や”SAP Cloud Integration”といったサービスが該当します。

※1: https://discovery-center.cloud.sap/viewServices?regions=all&provider=all

SAP S/4HANA 導入支援サービス 基本ガイドブック

SAP Business Technology Platform のユースケース

Extension Suite – SAP S/4HANA Side-by-Side

Extension Suite のユースケースとしては、皆様ご存知の”Side-by-Side”開発がわかりやすいでしょう。

例えば、社内 S/4HANA にて管理されているデータを、外出先からでも参照できるように Fiori アプリケーションを作成するケースが挙げられます。この Fiori アプリケーションは BTP 上で動作し、参照元のデータは S/4HANA 標準のAPI を使用して BTP へ連携するようにします。

この構成の優れている点は、必ずしも S/4HANA の全データを BTP に連携する必要はなく、社外で参照する必要があるデータのみを公開対象とすることができるため、一定のセキュリティを担保しつつ、社内リソースの利便性を高めることができるところです。

また、データの整合性担保等、事前に検討すべき課題はありますが、BTP から S/4HANA へのデータ連携も可能であるため、これまで止む無く他システムで実現していた業務を、BTP 上に構築したアプリケーション上で再現することができれば、データをより S/4HANA に集約することができるようになります。

Integration Suite – S/4HANA Cloud と SharePoint の連携

続いて、Integration Suite のユースケースです。

Integration Suite の強みは、SAP システムとの連携はもちろん、非 SAP システムとの連携が可能である点が挙げられます。

例えば、S/4HANA 内で請求書などのドキュメントを作成した後に、SharePoint に転送することで、社外に居るユーザーに広くドキュメントを公開することができます。

この構成と、先述の Extension Suite ユースケースの構成を併用することで、S/4HANA のデータをより有効に実業務に役立てることができるようになるかと思います。

SAP Business Technology Platform を導入するには

SAP Business Technology Platform 自体の導入は非常に簡単です。

SAP Store より購入し、メール送信される案内に従って SAP BTP Cockpit にアクセスすれば完了します。しかし、それだけではただ「BTP という箱」が導入できたに過ぎず、先述の Extention Suite 等を使用することはできません。

BTP を操作する適切なユーザーのアカウントを登録し、必要なサービスを導入(あるいは購入)し、アプリケーションを開発し、という作業をほぼ英語のみのドキュメントを頼りに実施しなければなりません。

そのため、事前に公式のドキュメントをよく確認しておくことや、英語に長じたエンジニアをアサインするといったことはもちろん、Trial 環境を用いて 「BTPでは何ができるのか」、「どうすればできるのか」を学習しておくことが重要です。SAP BTPの導入ポイントはここが大事ですね!

まとめ

既存の S/4HANA をより効果的に活用できるようにすることが、SAP BTP を導入する大きな利点です。今回の記事では触れなかった、AI や BI ツール(これらも SAP BTP シリーズに含まれます)を導入すれば、日々の業務で S/4HANA に集積されたデータ及び、Fiori アプリケーションが収集したデータを分析し、経営や営業活動にフィードバックすることも可能となりますので、もし業務上バラバラに成ってしまったデータの扱いにお困りの場合、一度 SAP BTP の導入を検討されると良いかと思います。

SAP FioriとBTPが理解できる基本ガイドブック
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