RISE with SAPで提供されるSAP S/4HANA Cloudの2種類の形態を解説

2021年1月に発表されたRISE with SAP。クラウドERP、ビジネスプロセスインテリジェンス、ビジネスプラットフォームなどを1つにまとめたサービスパッケージですが、その中核を担うのがクラウド ERPであるSAP S/4HANA Cloudです。そのSAP S/4HANA Cloudには2種類の形態が提供されていて、それぞれ異なる特長があります。今回はRISE with SAPに含まれる2種類のSAP S/4HANA Cloudについて解説します。

RISE with SAPの概要

まずはRISE with SAPについておさらいします。もしかしたらRISE with SAPはSAP S/4HANAの名前を変えただけのものと誤解されている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いです。下記図の4つの層を全て含めてRISE with SAPと呼んでいます。

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出典:SAP提供資料

インテリジェントスイート層がRISE with SAPのコアになるSAP S/4HANA Cloudになります。その下のビジネステクノロジープラットフォーム層ではBTP(旧SAP Cloud Platform)と呼ばれるPaaS(Platform as a Service)をクラウドサービスとして提供されています。

このBTP上で業務プロセスの追加機能やカスタムアプリケーションを作成することが出来ます。もちろんSAP S/4HANA Cloudとの連携も可能です。ビジネスプロセスインテリジェンス層は分かりやすく言えばBIサービスの提供になります。SAP Process InsightsやSAP Signavioといったサービスが提供されます。最後にビジネスネットワーク層は他社との連携(コラボレーション)を意識したもので、SAP Aribaなどのサービスが提供されます。

それでは、SAP S/4HANA Cloudについて掘り下げていきましょう。

SAP S/4HANA Cloudには2種類の形態がある

SAPが世に最初に発表したERPは1972年のSAP R/2が最初で、1992年にSAP R/3、2004年にSAP ERP(ECC6.0)がリリースされました。2011年にin memoryデータベースのSAP HANAがリリースされ、2015年にSAP S/4HANAが発表されました。そして2018年にSAP S/4HANA Cloudがリリースされ、現在に至ります。現状ではオンプレミスのSAP S/4HANAも取り扱っていますが、あくまで特別対応時での採用となり、SAP社としては基本的にはSAP S/4HANA Cloudを提供している状態です。

S/4HANA Cloudの長所としては、インフラの構築や掛かる費用が不要となり、比較的短期間でのSAPのシステム構築が可能となります。またSLA(Service Level Agreement)で担保されていて、稼働実績99.99%という高い安定性が提供されている。また、SAPにてシステムアップグレードが実施されることにより、常に最新のテクノロジーが提供されることになります。

現在、SAP S/4HANA Cloudは「public edition」と「private edition」が用意されていますが、それぞれ2つの形態の特長について解説します。

テーブル

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RISE with SAP S/4HANA Cloud, public editionの特長

public editionはSaaSとして提供されたSAP S/4HANA Cloudを複数ユーザが共有して使用する仕組みになります。つまり、基本的な考え方として自社の業務プロセスを、SAP S/4HANAの業務プロセスにFit and Standardで合わせる形になります。アドオン開発はBTP上でのSide by Side拡張になり、バージョンアップは年2回が必須、インフラは共有されたパブリッククラウドになります。

public editionの長所としては、短期間で比較的安価にシステム導入が可能となります。新規でのSAP S/4HANA Cloudの導入や、SAP ECC6.0が稼働している既存ユーザで、ほとんどアドオン開発した機能を使用していなかったというケースでは、短納期で比較的安価なpublic editionの選択肢もありかも知れません。

RISE with SAP S/4HANA Cloud, private editionの特長

private editionはSaaSとして提供されるSAP S/4HANA Cloudを1つのユーザが占有して使用する仕組みになります。つまり、これまでのオンプレミスと同様にS/4HANAそのものへのアドオン開発やSAP ERPの旧バージョンからのコンバージョンが可能となっています。バージョンアップは5年間の間に任意のタイミングで1回のバージョンアップが必須になります。

インフラについてはAWS、Azure、GCPが選択可能となっています。private editionの長所としては、1ユーザで占有しますので、SAP S/4HANA Cloudそのものへのアドオンが可能となり、カスタマイズの自由度が高くなります。SAP ECC6.0が稼働している既存ユーザについてはアドオン開発の対応などからprivate editionが選ばれるケースが多いようです。

まとめ

RISE with SAP におけるSAP S/4HANA Cloudは「public edition」と「private edition」の2形態が提供されています。クラウドでの提供ということで導入前のインフラ構築・費用が不要になりますし、安定した稼働も期待できます。また導入時の自社の業務プロセスとSAP S/4HANA Cloudの業務プロセスを合わせる際、基本的な考え方としてFit and standardという

SAP S/4HANA Cloudの業務プロセスを合わせることになります。その点で「private edition」は比較的カスタマイズの自由度が高く、「public edition」は、そのまま使用することが基本的な考え方になります。

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